街には一つの塔があって、上は見えない位伸びているわ。 一度辿ってみたら、水面まで伸びていたの。 水面に出ている部分には、一匹の黒猫。 「あら、黒猫さん。こんにちは。何をしているの?」 「おやおや珍しい。僕は、この塔の騎士なんだ。だからココで過ごしてる。」 「騎士?何も敵なんていないのに。」 不思議そうに眼を瞬かせた私。それを当たり前の反応だと笑う黒猫の彼。 「この塔の下を知っているかい?宝石があるよ。それがくすまない様に、ここのレンズを守って居るんだ。」 「よく分からないけど、黒猫さんは物知りね。」 「僕だって聞いた話さ。永い間、代々騎士をしてるから。」 「そうなの。面白いお話ありがとう。」 「いいや。そうだ、もし宝石を見つけられたら、歌ってくれないかい?きっと聞くから。」 「絶対じゃないのね。でも、いいわ。見つけたら、そこで歌うわ。」 「ああ。約束だ。」 私は、また深い街へと沈む。 next